Novel
本編がもっと楽しめるような裏話、公式スピンオフ小説などを掲載しています。
※稀にセルフ二次創作(非公式小説、設定無視、本編とは一切関係のない製作者の趣味小説)等を掲載する場合がございますが、その際はワンク表記させて頂きますのでご安心ください。

深夜2時頃の舞桜とセナ
静かな夜が降りていた。
木製のテーブルに向かい合って座る二人。
セナは紙に羽根ペンを滑らせていた。ペン先が紙を擦る音だけが部屋の空気を切り裂いている。
向かいの椅子には舞桜が腰かけている。中性的な顔立ちでどこか眠たげな目をセナに向けた。
「せーくん、まだ勉強してるの?」
「あと少しだけ……」
セナは目を上げることなく答え、肩にかかる髪がわずかに揺れた。
「僕はせーくんのせいで寝れないの」
「先に寝てて構わないわよ?」
「夜中も勉強するの、迷惑だからやめてくれない?」
「ごめんね、舞桜……本当にあと少しだけよ……」
羽根ペンを持つ指が一瞬止まる。だがすぐにまた紙の上に静かに動き出す。
「そう言って、どうせ早朝まで勉強するんでしょ」
「勉強も修行も両立させたいから仕方ないのよ」
その言葉に込められた強さに舞桜は肩をすくめた。
「……舞桜こそ平気なの?」
「僕は忙しすぎて時間ないからパス」
「またそうやって言い訳する……」
セナは少しだけ眉をひそめた。
(……そもそも、自分で時間を確保する努力もしてなさそうね)
「忙しいは言い訳にならないわ。時間をうまく活用できる人の方が人生得してるのよ」
静かな口調で語るセナの声にはどこか信念があった。
「それに……私はみんなが笑顔でいられる世界にしたいの。 そのためにはもっと頑張らなきゃ。だから勉強も修行も怠らないわ」
舞桜はテーブルの上に肘をつきながらどこか諦めたように呟いた。
「いつもせーくんは無理をする。そんなことしてたらまた倒れるよ、そしたら僕のやることが増えるから絶対やめて」
「……それもそうね」
セナがふっと笑うと舞桜はちょっとだけ目を細めた。
「せーくんがいなくなったら僕にすごく迷惑なの忘れないで」
「………」
セナは羽根ペンの動きを止め視線をふと宙に浮かせた。
「……要件が落ち着いたら私も羽を伸ばそうかしらね。そのときは一緒に出かけましょう?」
「別にいいよ。どこ行くの?」
──返事は早かった
「まだ決まってないけど、、サーカスとか見に行きたいかも。屋台のごはんでも食べながらのんびりね」
「悪くないね。決定で」
「楽しみだわ」
2人の頬がゆるむ。 舞桜は言い聞かせるようにひとこと。
「そんなこと言ってまた“別件が〜〜”とか言わないでよ」
「もちろんよ。約束はちゃんと守るわ」
「絶対だからね」
羽根ペンは再び紙の上を滑り出す。
けれど、その手の力はさっきより少し軽くなっていた。